Claude Duetとは 向こうから声をかけるAI、dots・Grok Botとの違い

Anthropicが米国時間10月21日、「Claude Duet」を発表しました。Claudeが、こちらから話しかけるのを待たずに動く、エージェントのアプリです。毎朝、つないだアプリの中から大事なことをまとめて知らせ、その後は数時間おきに様子を見て、こちらの判断が要るときだけ連絡してくる。頼んだ作業は、アプリを閉じても続けてくれます。
OpenAIが9月に出したdots、SpaceXAIのGrok Botと同じ、「常に働くAI」の仲間です。ただ、日本ではまだ使えません。私たちはdotsを日本で試したので、その経験と比べながら、公式の発表と製品ページで確かめた内容をまとめます。Duet自体は試せていません。
Duetは、こちらが開く前に声をかけてくるClaude
いつものClaudeは、こちらがチャットを開くのを待っています。Duetは逆で、Claudeのほうから来ます。製品ページの説明では、朝に「進行中が5件、あなたの判断が要るものが2件」といった短いまとめを送り、その後は静かにしていて、必要なときだけ連絡してくる、という動き方です。
動かしているのは、Claude Opus 5.5です。Anthropicは、Duetを役に立つものにしているのは判断力だとして、何があなたを必要としていて、何は待てるのか、いつ先に確認すべきかを決められるように作った、と書いています。
使い方はメッセージを送るだけです。文字でも音声でもよく、やり取りは1本のスレッドにまとまります。いつものClaudeのアカウントのメモリ、スキル、つないでいるアプリを引き継ぐので、それらを設定し直す必要はありません。作業は、Duet専用のクラウド上のコンピューター(ブラウザつき)で進むので、こちらのパソコンやスマホが閉じていても止まりません。
頼める仕事の幅は広く、会議の日程調整のような事務から、数十のツールのデータを集めたダッシュボード、売上や財務の予測、試作品やWebアプリづくりまでが例に挙がっています。Anthropicは、抱えている仕事が多すぎる専門職と、小さな会社の経営者に向けて作ったとしています。
使えるのは米国のPro・Maxから。日本ではまだ使えない
今回は研究プレビューで、順番待ちの登録制です。発表文によると、対象は米国のPro・Maxの利用者からで、TeamとEnterpriseはまだ含まれません。スマホではiOS・Android向けの専用アプリで、パソコンではWebのclaude.aiで使います。スマホでは、いつものClaudeとは別のアプリになります。日本から使えるようになる時期は書かれていません。
公式は、まだ足りないところも自分で書いています。いちばん大事なのは判断の精度で、スレッドを読み違えたり、何が急ぎかを見誤ったりすることがあるとしています。様子を見るのは数時間おきなので、その合間に届いたものを見落とすこともある。チケットの予約のような私用はまだ得意ではなく、Duetが使っているブラウザの画面をこちらから見ることも、まだできません。
見回りも、いつものClaudeと同じ利用枠を使う
気になるのは利用枠です。研究プレビューの間、Duetはプランの利用枠を、ほかのClaudeの機能と共有します。製品ページによると、普通の会話とは減り方が違い、次の2つが枠を使います。
- 数時間おきに、つないだアプリの様子を見にいく、裏での見回り
- 財務モデルや資料づくりのような大きな作業。やり取りの回数と裏での作業が増え、多く使う
見回りを数時間おきにしているのは、常に見張っているとプランの利用枠をずっと早く使い切ってしまうからだ、と公式は説明しています。何を、どのくらいの頻度で知らせてほしいかは、こちらから伝えられます。
つまり、同じPro・Maxの契約で使っているClaudeやClaude Codeの枠に、Duetの見回りと作業も乗ってきます。具体的にどれくらい減るのかは、まだ公表されていません。
dots・Grok Botと比べると、違いは利用枠と、誰向けか
3つを並べるとこうなります。
| Claude Duet | ChatGPTのdots | Grok Bot | |
|---|---|---|---|
| 提供元 | Anthropic | OpenAI | SpaceXAI |
| 動かすモデル | Claude Opus 5.5 | GPT-6 Astra | 発表に記載なし |
| 対象 | 米国のPro・Max(順番待ち)。TeamとEnterpriseはまだ | Pro(欧州などを除く)、Business Premium、Enterprise(管理者が有効にする) | The X SubscriptionのPremium・Super・Ultra(チームの席も)、旧来のCursorの有料プランなど |
| 日本から | まだ使えない | 使える(私たちも試した) | 発表に記載なし |
| 自分から知らせる | 毎朝のまとめと、数時間おきの見回り | 会話の合間も動き、結果や判断の必要を知らせる | 終わったときや承認が要るときに知らせる |
| 利用枠 | プランの枠をClaudeのほかの機能と共有。見回りも数える | 会話は数えない。任せたCodexやWorkの作業はそれぞれの枠。dot自身の大きな作業にはプランごとの割り当てがある(提供後1か月は拡張) | The X Subscriptionでは、CursorやGrokのアプリと同じ週ごとの枠を共有。旧来のプランは、プランごとの週ごとの枠 |
| 手元のパソコン | 発表に記載なし | つなげる | 発表に記載なし |
dotsは公式の説明、Grok Botはプランの説明と発表によります(2026年10月22日時点)。
表で見比べたいのは、何が利用枠を使うかです。dotsは、話しかけることそのものは枠の外です。Duetは、話しかけなくても、数時間おきの見回りの時点で枠を使います。任せた作業は3つとも何らかの枠を使い、dotsはCodexやWorkの枠、DuetはClaudeの枠、Grok BotはThe X SubscriptionならCursorやGrokと共有の枠から出ていきます。AIが自分から動く分の費用をどの枠から払うかが、各社で分かれているわけです。
誰向けかも違います。dotsとGrok Botは、会社のプランやチームの席でも使えます。Duetは、今は個人のPro・Maxだけです。小さな会社の経営者に向けて作ったと言いながら、会社として管理する仕組みは、今回の発表からは見えません。
使いどころは、経営者ひとりの経理・連絡・契約の段取り
公式が挙げる使い方は、小さな会社の経営者の毎日にかなり寄っています。発表文では、6,000以上のコネクタとプラグインを通じて、たとえばこんなことができるとしています。
- GmailやSlackで見落としているメッセージを探し、返信を手伝う
- QuickBooksやStripeで未払いの請求書を探し、督促の文面を下書きする
- Gustoで、勤務時間やボーナス、立て替えを入れて給与計算を準備する
- Docusignで契約書を準備し、確認と署名に回す
早く使った人の声も紹介されています。不動産の仲介をしている人は、毎朝のまとめで、カレンダーに間違った日で入っていた内見の予定を、頼んでもいないのに指摘されたそうです。従業員110人ほどの飲食店の経営者は、経理や顧客対応、販促に使い、店舗ごとに請求書を整理したと話しています。
任せる範囲の線引きも示されています。Duetは、読む、下書きする、準備する、までは自分でやります。メッセージの送信、支払い、署名、削除の前には、何をしようとしているかを見せて承認を待ちます。証券の売買や口座の間の送金は、承認があってもやりません。
お金と機密の扱いにも仕組みがあります。StripeのLinkで支払う場合は仮想カードを使い、本物のカード番号は渡しません。カード番号や公的な身分証の番号を送るよう求められても断るように設計した、専用の判定の仕組みもあるとしています。ただ、Anthropic自身が保護の仕組みは今後も強化していくと書いており、漏えいを完全に防ぐ保証ではありません。
ここで1つ気になるのは、今は個人のプランだという点です。給与や請求、契約は、会社の仕事です。経営者が自分のPro・Maxのアカウントで会社の会計ソフトや給与ソフトをつなぐと、そのアクセスは個人のアカウントにひもづきます。担当を引き継ぐときや、アクセスを止めたいときにどうするか。会社として使うなら、TeamやEnterpriseで使えるようになり、管理の仕組みが見えてからのほうが安心だと思います。日本の会計や給与のソフトがつながるかも、今回の発表からは分かりません。
最後に 日本で使えるようになったら、何を見張らせるかから決める
ここまでが公式の発表で確かめた内容です。ここからは、dotsを試した私たちの考えです。
こちらが開くのを待つAIから、向こうから来るAIへ。今回取り上げた3つは、少なくともその方向を向いています。そのうえで、Duetの特徴は「いつものClaudeの延長」であることだと思います。新しい相棒を一から育てるのではなく、Claudeに残してきたメモリやスキル、つないだアプリを、そのまま先回りの動きに使う。日頃からClaudeを仕事に使い込んでいる人には、いちばん自然な形かもしれません。
ただ、見回りにも利用枠を使う作りは、使い方を選びます。日本で使えるようになったら、まず「毎朝何を知らせてほしいか」と「何は見張らなくていいか」を書き出すところから始めるのがいいと思います。全部をつないで全部を任せるより、見張る対象と知らせる条件をはっきりさせたほうが、枠も、こちらの注意も無駄にしません。
もう1つ、確かめたい点があります。dotsを試したとき、私たちは自社のbriefroomのMCPを、dotのクラウド上の環境から直接は使えませんでした。手元のパソコンで起動して使う形(stdio型)だったためです。dotsには手元のパソコンをつなぐ道も用意されていますが、Duetの発表には、その話が出てきません。手元で動かしている自社のツールをDuetから使えるのか。日本で始まったときに、まず確かめたい点です。