ChatGPTのdotsを使ってみた 利用枠と記憶の範囲、電話で呼び出す違和感

OpenAIがDevDay 2026で発表した、24時間動くエージェントの「dots」。私のChatGPTのPro 100アカウント(日本)にも届いたので、自分用のdotを作り、いろいろ話しかけてみました。
先に感想を書くと、できることの幅より、「人間のようにふるまう作り」のほうが印象に残りました。 話しかけるには電話をかけて呼び出し音を待ち、送ったメッセージには既読が付く。便利かどうかとは別に、どこか落ち着かない感覚がありました。
dotsは、CodexとWorkに仕事を回す常時稼働の担当者
dotsは、GPT-6 Astraで動き、自分専用のクラウド上のコンピューターを持つエージェントです。プラグインを通じて4,000を超えるアプリにつながります。ChatGPTの中ではメッセージと音声通話で、外からはSlackやTeamsで話しかけられます(dotsの発表、dotsのドキュメント)。
対象は、Pro(月100ドル・200ドル・500ドルのすべて)とBusiness Premiumで、Enterprise(EduとHealthcareを含む)は管理者が有効にすればベータを試せます。使えるのは18歳以上で(OpenAI公式ヘルプ)、Proは欧州経済領域・英国・スイスが対象外です。順番に届く形なので、対象でも数日かかることがあります。日本は対象外の地域に入っておらず、私のPro 100でも使えました。最初の1つはプランに含まれ、追加料金はかかりません。
作成はデスクトップアプリかパソコンのブラウザから行います。スマホのアプリからは、対応する更新が届いたあとに話しかけられます。スマホのブラウザには対応していません(OpenAI公式ヘルプ)。
CodexやChatGPT Workとの違いを、dot自身に聞いてみました。返ってきた整理は、Codexはコードの実装や修正、テスト、Workは調査や分析、資料などの成果物づくり、dotは継続的に相談を受けながら必要な作業や確認を進める担当、というものでした。重なる部分はあり、dotがCodexやWorkに作業を頼むこともあるそうです。
公式の説明とも合っていて、dotはクラウド上で新しい作業のスレッドを立てられ、パソコンをつないでいればそのパソコン上でWorkやCodexのタスクも作れます。ただし、dotが作ったタスクは独立した会話になり、dotとのやり取りが全部引き継がれるわけではありません(dotsのドキュメント)。CodexとWorkが作業机なら、dotはその机に仕事を配って進み具合を見ている担当者、という関係です。
ただ、dotの顔はそれだけではなさそうです。最初にdotを作ったとき、GmailやGoogleカレンダーなどへの接続を勧める画面が、それぞれのアプリのアイコンとともに出てきました。公式の始め方も、最初のdotを作り、アプリをつなぎ、dotに自己紹介させる、という順番です(dotsの発表)。dotは、つないだアプリを頼まれなくても読んで下調べをするので、メールや予定が見えていてこそ先回りができます。dotは、外部のツールにつないで使う前提の、秘書に近いエージェントなのだと思います。メールと予定を見て先回りする秘書と、CodexやWorkに仕事を配る進行役。この2つの顔を持っている、というのが私の見立てです。
会話は利用枠の外、初月の実験では残量は動かなかった
いちばん気になったのは利用枠です。公式ははっきり書いています。
"Conversations with your dot don't count toward your ChatGPT usage limits."
dotとの会話は、ChatGPTの利用枠に数えられません。一方、dotに始めさせたCodexやWorkのタスクは、それぞれの利用枠を通常どおり消費します。dot自身が本格的な作業をする分にもプランに枠があり、公開から1か月は上限が広げられています(dotsの発表)。その枠の量は公開されていません。9月29日のリリースノートには「今後1か月、dotsの利用はプランの枠に数えない」とも書かれていて(ChatGPTのリリースノート)、この「利用」がどの作業を指すのかは、はっきりしません。
そのうえで、試してみました。週の利用残量が73%の状態で、dotに「小さな会社のAI活用」というテーマのWord文書を作ってもらいました。dotは自分のクラウド環境で本文3,035字の文書を作り、表示を確かめてからファイルを渡してくれました。作り終えたあとも、残量の表示は73%のままでした。

画面のとおり、dot自身も「変わらなくても消費ゼロとまでは断定できない」と答えています。表示に出ないほど小さかったのかもしれませんし、反映が遅れているだけかもしれません。そもそも、いまは公開から1か月の特別な期間です。今回わかったのは、この期間に約3,000字の文書を作っても、週の残量の表示は変わらなかった、というところまで。OpenAIは、この期間が終わったあとにプランごとの利用条件を示すとしているので(OpenAI公式ヘルプ)、通常の期間にどれだけ減るかは、そのあとで確かめる必要があります。
ちなみに、dotの口調は画面のとおり「できたよ」「見てみて」とかなりくだけています。このあたりも、後で書く「人間らしさ」の一部です。
覚えるのはメモリと自分のメモ、消すにはdotごと削除
dotがどこまで覚えているのかも聞きました。dotの答えは、いまの会話、ChatGPTから引き継いだメモリや過去の情報、アクセスできる資料を組み合わせて答えている、というものでした。ChatGPTの全会話やCodexの全プロジェクトを自由に見られるわけではなく、別に開いたCodexのセッションの中身が自動で共有されることもない、とも言っていました。
公式の説明もほぼ同じです。dotはChatGPTのメモリと最近の会話を受け取り、それとは別に自分用のメモを持ちます。そのメモは全会話の記録ではありません(dotsのドキュメント)。
実務で知っておきたいのは、記憶の消し方です。dotが覚えた個々の内容は、見ることも直すこともできず、dotのコンテキストを消す方法はdotそのものを削除することだけです。接続したアプリの情報は、頼まれなくても読んで覚えることがあり、アプリの接続を外しても、すでに取り込んだ情報は残ります。しかも、dotを削除しても、dotが作ったファイルやCodexのスレッド、ChatGPTの会話、ChatGPT側に共有されたメモリは、それぞれの場所に残ります(OpenAI公式ヘルプ)。接続したあとにdotが取り込んだ情報は、接続を外しただけでは消えない、と考えておいたほうが安全です。
dotは会話の中で、画像の生成や写真の編集にも対応すると説明していました。ところが、公式の説明をひととおり読んでも、dotの機能としての画像生成の記載は見つかりません。AIに自分のことを聞くと、それらしく答えてくれますが、正しいとは限りません。機能の範囲は、公式の説明と照らし合わせてから信じるのが安全です。
電話は呼び出し音が鳴り、チャットには既読が付く
ここからが、いちばん書きたかったところです。
dotと声で話すとき、ChatGPTの音声会話のようなボタンを押すのではありません。会話画面の電話マークを押します。すると画面に「Calling...」と出て、呼び出し音が鳴り始めます。

本当に誰かに電話をかけているような画面で、10秒ほど待たされてから、ようやくdotが出ました。出たあとは、専用の通話画面に切り替わるわけではなく、それまでのチャット画面のまま会話が始まります。
チャットも同じです。送ったメッセージには、ほぼ直後に既読が付きます。返事を待つ間は、薄い吹き出しに丸が並ぶ、メッセージアプリで相手が入力しているときと同じ表示が出ます。
どれも、人間どうしのメッセージアプリの作法をそのままなぞっています。なぜこういう作りにしたのか、公式の説明は見つかりませんでした。ここからは私の感想です。
正直なところ、便利というより、どことなく不安な感じがしました。相手はAIなので、本当は呼び出し音を待つ必要も、既読を付ける必要もないはずです。見慣れたメッセージアプリの見た目を借りただけかもしれません。それでも私には、dotをツールではなく、自分の側にいる誰かとして受け取らせようとしているように感じられました。
気になるのは、その感覚が仕事の任せ方に影響することです。電話に出るまでの10秒で、こちらは相手が人のように考えている気になってしまいます。人間の同僚のように感じる相手には、確認を省いて任せたくなる。でも、人間らしく見えることと、人間のように判断できることは別です。見た目が人に近づくほど、承認の手順と結果の確認は、むしろ意識して残したほうがいいと思いました。
音声通話の中身は、その後のチャットでの返事にも引き継がれていました。公式によると、通話では選ばれた会話の文脈が使われます(dotsのドキュメント)。ただ、通話の内容がどれだけの期間、どういう形で残るのかは、dotについては書かれていません。チャット画面に履歴として出ることと、dotがその内容を参照できることも、別の話です。
説明書を読ませても、自社のツールは操作できるようにならない
私たちは、AIが作ったHTMLを共有するサービスbriefroomを開発しています。そこで、dotにbriefroomのAIエージェント向けの説明書(ドキュメント)を読ませ、HTMLの公開や更新、コメントの取得をdotからできるか試しました。
結論から書くと、説明書を読ませただけでは、dotがその操作をできるようにはなりません。 dotは、MCP(AIから外部のサービスを操作するための共通の仕組み)やコマンドで公開・更新・一覧の取得・コメントの取得ができる、という仕組みまでは理解しました。でも、理解することと、実際に操作する手段を持つことは別です。
壁になったのは、いまのbriefroomのMCPが、手元のパソコンで起動して使う形(stdio型)だったことです。dotのクラウド環境から直接使うには、インターネット越しにつなげる形(リモートMCP)にするか、ChatGPTのプラグインとして用意する必要がありそうだ、というところで止まっています。パソコンをdotにつなぎ、そのパソコン上で動かす経路も公式には用意されていますが(dotsのドキュメント)、今回はどちらもまだ試していません。
公式の説明では、dotが使えるのは、自分のアカウントで入れて有効にした、対応するプラグインで、すでにある接続と権限の範囲内です。自作のプラグインや、開発者向けの設定でつないだMCPをdotから使えるかは、書かれていません。
業務で自作のプラグインを配る主な方法は、一般向けのディレクトリに載せるか、ワークスペースの中だけに公開するかです。ディレクトリに載せる場合は、自動チェックのあとに人の審査があります(プラグインの申請)。ワークスペースの中だけなら、管理者が対象の役割を決めて公開でき、ディレクトリには載りません(プラグインの作り方)。社内のツールをdotにつなぐなら、まずプラグインの形にして社内に公開し、それがdotから使えるかを確かめる、という順番になりそうです。
最後に まず相談相手として使い、つなぐ前に線を引く
アプリをつながずに触った範囲では、dotは「何でも自動でやってくれるAI」というより、覚えてくれる相談相手に近い存在でした。会話が利用枠に数えられないので、相談相手として使う分には気兼ねがありません。
使い方の見通しも書いておきます。私はふだん、Claude CodeやCodexのセッションに直接指示を出して仕事を進めています。dotに「あのプロジェクトのあれをやっておいて」「このプロジェクトのあれはどうなった」と聞くだけで、確認や作業を進めてくれるなら、もう一人の担当者を置いたような働き方になるはずです。いまの仕組みでも、Codexの仕事に限れば、その形に近づけそうだと思います。dotはCodexに作業を頼め、任せた作業の進み具合はActivityの画面で追えるからです(dotsのドキュメント)。
ただ、CodexのようにClaude Codeへ作業を渡して、Activityで進み具合を追う連携は、公式の説明には見当たりません。私が直接開いたセッションの中身が自動で共有されないのも、前に書いたとおりです。何でも聞ける窓口というより、dot経由で頼んだ仕事の進行役、と考えておくのが現実的だと思います。
そのうえで、仕事の情報を入れる前に確かめておきたいことがあります。
- 学習への利用: 個人のProでは、設定の「Improve the model for everyone」しだいで、dotとの会話や任せた作業、接続したアプリから会話に持ち込まれた情報がモデルの改善に使われることがあります。BusinessやEnterpriseは、初期設定では使われません(OpenAI公式ヘルプ)
- つなぐ範囲: つなぐ前に、そのアプリの情報をdotに渡してよいかを決める
- 動き方の方針: Custom Rulesで、操作ごとに「聞かずに実行」「指示したときだけ実行」「実行の前に確認」「本人が操作する」を選べます。ただし、これはdotが従おうとする方針で、間違いを完全に防ぐものではありません。パスワードの変更と送金は必ず本人が行う、といった組み込みの安全要件はあります(dotsのドキュメント)
- 止め方: 「Pause」で止まるのはメインの作業だけで、任せたタスクや定期の作業は、それぞれの画面から個別に止めます。止めただけでは、すでに実行した操作は元に戻りません
先に書いたように、dotは外部のツールにつなぐことで先回りできる範囲が広がる作りです。だからこそ、どのアカウントを、どの範囲で、どのようにつなぐかは、しっかり検討する必要があると思います。仕事のメールには取引先とのやり取りも契約の話も入っていて、一度dotが取り込んだ情報は、接続を外しただけでは消えません。
次に見ておきたいのは、1か月後に出るdotの利用条件と、自作のプラグインをdotから使えるようになるかどうかです。