Claude Coworkのクラウド移行で何が変わる? ローカルのファイルは使えなくならない

「明日からCoworkがローカルで使えなくなるらしいけど大丈夫?」。10月5日、Xでこんな投稿が200を超えるいいねを集めました。きっかけは、Claudeの公式ヘルプに載った「10月6日から、Pro・Maxの新しいCoworkのタスクはクラウドで動く」という告知です。
結論は、手元のパソコンにあるファイルは、デスクトップアプリから始めたセッションで、アプリを開いている間なら、今までどおりCoworkで使えます。 変わるのは、Claudeの作業が「どこで動くか」です。ただ、本当にできなくなることや、気にしておきたい点もいくつかあります。公式の説明と、Coworkの開発担当者がXで補足した内容から整理します。
手元のファイルは使える。変わるのは作業が動く場所
公式ヘルプによると、2026年10月6日から、ProとMaxのプランでは新しいCoworkのタスクがクラウドで動きます。設定の「一般」にあった「Only on your computer(コンピューターのみ)」の選択肢はなくなり、利用者が設定し直す必要はありません。すでに手元のパソコンで始めたタスクはそのまま残り、終わるまで続けられます。
手元のファイルについて、ヘルプはこう説明しています。フォルダは手元のパソコンに残り、Claudeが触れるのは接続したフォルダだけです。クラウドのセッションが手元のファイルを読み書きできるのは、そのセッションをデスクトップアプリで始めていて、同じパソコンでアプリが開いている間に限られます。作業でファイルが必要になると、Claudeはそのファイルのコピーだけをクラウドに取り寄せます。セッションを消すと、そのコピーもデータ保持の方針に沿って削除されます。
Coworkの開発に携わるFelix Rieseberg氏も、Xで同じ趣旨を説明しています。Claudeがアクセスするのは、利用者がセッションに明示的に追加したフォルダの中のファイルだけで、これは以前の版と同じだ、という内容です。
なお、今回の切り替えの対象はProとMaxです。TeamとEnterpriseでは、クラウドで動かすかどうかを組織のオーナーが設定で決める形が続き、初期状態はTeamがオン、Enterpriseがオフです(公式ヘルプ)。
旧Coworkと新Coworkの違い
何がどこで動くのかを、仕組みの説明とRieseberg氏の説明をもとに並べると、次のようになります。
| これまで(手元で実行) | 10月6日から(クラウドで実行) | |
|---|---|---|
| Claudeの考える部分(推論) | クラウド | クラウド |
| 作業の進行、ファイルの読み書き | 手元のパソコン | クラウド。手元のファイルはデスクトップアプリ経由(デスクトップで始めたセッションのみ) |
| コードの実行 | 手元のパソコンの中の仮想マシン | クラウドの、セッションごとに分けられた作業環境 |
| セッションとファイルの保存先 | 手元のパソコン | Claudeのアカウント |
| ノートパソコンを閉じたとき | 作業が止まる | 作業は続く。ただし手元のファイルには届かない |
| スマホやWebからの利用 | 手元で動くセッションは続けられない | 同じセッションを続けられる |
Rieseberg氏によると、これまでのCoworkは、推論はクラウドで、ツールの実行は手元のパソコンに届けた仮想マシンで行っていました。仮想マシンは、セッションに追加したデータだけを見せるための安全策でしたが、ディスクやバッテリーを使い、動作も重くなるうえ、ノートパソコンを閉じると作業が止まる点が不評だったといいます。新しいCoworkでは、セッションごとに別の作業環境がクラウドに用意され、セッションが終わると消されます。
「ローカル」という言葉には、ファイルが保存されている場所、作業が動く場所、モデルが処理する場所という、いくつもの意味が混ざっています。接続した手元のフォルダのファイルはそのパソコンに残り、モデルの処理はもともとクラウドでした。誤解が広がったのは、この区別が見えにくかったからだと思います。
利用者から見た良い変化は、ノートパソコンを閉じても作業が続くことです。手元のファイルやアプリを使わない予定タスクなら、パソコンが起きていなくても動きます。スマホやWebから同じセッションを開いて、進み具合を確かめたり、指示を足したりできるようになります。
できなくなること、変わること
ファイルが使えなくなるわけではありませんが、次の点は変わります。
手元で動かす選択肢がなくなる。 ProとMaxでは、Coworkの作業を手元のパソコンで動かす設定がなくなります。作業を手元で動かしたい場合、公式はデスクトップアプリのClaude Codeを案内しています。ただし、Claude Codeでも、Claudeが考える部分(モデルの処理)はAnthropicのサーバーで行われます。ファイルの中身をAnthropicに渡さない方法ではありません。進行中のタスクの会話記録や、Coworkの履歴全体をダウンロードしてClaude Codeで開けますが、プロジェクトと予定タスクはClaude Codeに引き継がれません。
デスクトップアプリを閉じると、手元のファイルに届かない。 セッション自体はクラウドで動き続けますが、手元のフォルダを読み書きできるのは、デスクトップで始めたセッションで、そのパソコンのアプリが開いている間だけです。WebやスマホのCoworkから手元のファイルを使う場合も、この条件は同じです。アプリに内蔵されたブラウザやコンピューターの操作も、デスクトップアプリ経由になります。
手元のファイルの中身も、Anthropicのサーバーで処理される。 仕組みの説明は、クラウドのセッションがデスクトップアプリ経由で開いた手元のファイルも含め、作業はAnthropicのサーバーで処理され、端末の中にとどまらないと書いています。セッションとファイルはClaudeのアカウントに保存されます。会話が学習に使われるかは、設定の「プライバシー」にある学習への利用の設定に従います。
クラウドの作業環境からは、社内ネットワークに届かない。 クラウドの作業環境は、社内のサーバーなど非公開のアドレスには直接接続できません。これまでのCoworkはWebの取得も手元のパソコンで行っていたので、その経路で社内のページを読ませていた人は、同じ形では動かなくなる可能性があります。手元のブラウザや手元で動くコネクタを通す経路は、これとは別です。
手元で動くMCPサーバーは、デスクトップアプリ経由でだけ使える。 手元のパソコンで動かすコネクタ(ローカルのMCPサーバー)や、それを含むプラグインは、デスクトップアプリを通してだけ使えます。
逆に、もともとできなかったこともあります。Rieseberg氏は、手元のパソコンでスクリプトを直接実行することは「以前もできなかったし、今もできない」とし、それにはClaude Codeが向いていると答えています。
予定タスクは、公式ヘルプの中でも書き方が分かれている
1つ注意したいのが、予定したタスク(定期実行)の扱いです。公式ヘルプの中で、説明が食い違っています。
メインの告知のページは、手元のファイルを使う予定タスクも含めてクラウドに移り、手元のファイルを使うものはデスクトップアプリを開いておく必要がある、と書いています。一方、予定タスクのページには、予定タスクは手元のフォルダには結び付けられないという注意と、手元のファイルやアプリが必要な予定タスクはローカルでだけ動く、という注意が並んでいます。
どちらが今の実際の動きなのかは、ヘルプからは判断できません。手元のファイルを読む予定タスクを使っているなら、10月6日以降に一度、狙いどおりに動いたかを結果で確かめておくのが安全です。
最後に 接続しているフォルダを見直す
今回の変更は、「ローカルのファイルが使えなくなる」ものではありません。Claudeの作業がクラウドに移り、手元のファイルにはデスクトップアプリ経由で届く形に変わったものです。開発担当者自身も、変更が思っていた以上に利用者を驚かせたと書いているように、伝え方にも一因があったと筆者は見ています。
- 接続しているフォルダを見直す。 クラウドで処理されることを前提に、機密性の高いファイルが入ったフォルダをつないだままにしていないか確かめる
- 学習への利用の設定を確かめる。 個人のプランなら、設定の「プライバシー」で確認できる(AIサービス別のオプトアウト早見表)。ただし止まるのは学習への利用で、サーバーでの処理や保存は止まらない
- 手元で動かしたい作業は、Claude Codeに分ける。 手元のパソコンでコマンドを実行する作業や、社内ネットワークに触れる作業が当てはまる。ファイルの中身をAnthropicに渡したくない作業は、どちらにも向かない
- 手元で始めたタスクの記録を残しておく。 タスクの上部のボタンから、会話記録をダウンロードできる
Coworkとチャットが1つになった9月の変更に続き、Claudeのアプリは短い間隔で姿を変えています。10月6日以降にまず確かめたいのは、デスクトップで始めたセッションで手元のファイルを編集できるか、そして手元のファイルを使う予定タスクが狙いどおりに動いたかの2点です。