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Claude Coworkが消えてチャットと1つに 何が変わりClaude Codeはどうなる

AIニュースClaude
寺師 岳見監修: 寺師 岳見(株式会社タレントクラウド 代表取締役)フォロー最新のAI情報を発信中
上部に「『どこに頼むか』が消える」というキャッチ。左の「チャット」と「Cowork」の2つの窓が矢印で中央の「ひとつのClaude」に束ねられ、そこから右の「速答」(吹き出し)と「深い作業」(文書・表・グラフ)に分岐する図。下段に端末の窓と「Claude Codeは統合の対象外」の帯を配したインフォグラフィック

9月16日(米国時間)、AnthropicがClaude Coworkとチャットを1つのClaudeに統合すると発表しました公式Xの投稿は9月17日朝の時点で表示176万回。Coworkは今年1月に「Claude Codeを、開発以外の仕事にも」という位置づけで生まれ、8か月かけてブラウザ操作やコンピュータ操作を積み上げてきた製品です。その名前が、統合で消えます。

正直なところ、私たちも「これはチャットで聞くべきか、Coworkに任せるべきか」で手が止まることがありました。今回の統合は、その迷いをなくすものです。ただ、便利になった分だけ注意が要る点もあり、Claude Codeとの境界も改めて考える必要があります。先に結論を言うと、便利さは本物で、その代わりに使う側が決めることは「どのモードで頼むか」から「どこまで任せるか」に変わります。

「どちらに頼むか」を考えさせない、が統合の中身

変わることを一言で言うと、モードを選ばなくてよくなります。Help Centerの説明では、簡単な質問には短く答え、調査・レポート・スプレッドシート・プレゼン資料のような大きな仕事は自分で段取りを組んで進め、編集できるファイルで返す。どちらになるかはClaudeが判断します。Anthropicのcat wu氏は、モデルが賢くなったので振り分けをClaude側でできるようになった、プロンプトから速答か深い作業かを決め、出力の形式も選ぶ、と説明しています。

公式ブログが挙げる理由は率直です。Coworkは大きな仕事のため、Claude Designは見た目の仕事のために別の場所として作ったが、両方使う人から「どこに頼むか決めるのが面倒」「片方で始めた作業がもう片方に引き継がれない」と言われた。だから選ばせるのをやめた、と。CPOのMike Krieger氏も、いちばん多く聞く声は「どの製品から始めればいいか分からない」だったと書いています。

同時に、文書を作るClaude Docsとプレゼン資料を作るClaude Slidesが新しく登場し、Claude Designも会話の中から使えるようになりました。3つとも有料プランでベータ提供、Enterpriseは管理者が有効化を決めます。細かい条件はプランで違い、たとえばClaude DocsはFreeでは使えず、Enterpriseでは初期状態がオフ、暗号鍵を自社で管理する構成などでは未提供です。スライドはPowerPointやPDFで書き出せて、Design・Slides・Docsで作ったものは共有リンク1本でスマホからも開けます

展開はProとMaxが先で、Web・デスクトップ・モバイルに数週間かけて順次。TeamとFreeは「まもなく」、Enterpriseには変更の30日以上前に通知するとあります。設定でオンにするものはなく、自分の番が来ると勝手に切り替わります。そして一度切り替わると、「チャット」と「Cowork」に分かれた元の表示には戻せません

画面で見るべきは「フォルダを追加」と「手動/自動」

私たちのアカウントには、発表の翌朝に統合後の画面が来ていました。デスクトップアプリとブラウザ版を並べると、違いが1か所だけあります。

デスクトップアプリ

統合後のClaudeデスクトップアプリ。メッセージ欄の下に「プロジェクトまたはフォルダー」「Output」の選択、右に「Opus 5 最大」と「手動」が並び、開いたメニューに「How to use Claude」「新しいプロジェクト」「フォルダを追加」が出ている

ブラウザ版

同じアカウントのブラウザ版Claude。メッセージ欄の下は「プロジェクト」「Output」で、開いたメニューには「How to use Claude」「新しいプロジェクト」だけがあり、フォルダを追加する項目がない

メッセージ欄の上にあった「チャット」「Cowork」の切り替えがなくなり、代わりに欄の下へ4つの部品が並びます。左から、参照するプロジェクトかフォルダ、出力の形式(Docs・Slides・Design)、モデル、そして権限の「手動」。デスクトップ版だけ、プロジェクトの選択肢に「フォルダを追加」があります。ローカルのフォルダを読めるのはデスクトップアプリだけで、ブラウザ版にはこの項目そのものがありません。

実際に「フォルダを追加」で自社サイトのプロジェクトフォルダを選ぶと、そのフォルダを編集する権限を許可するかを聞かれました。許可して「このプロジェクトの概要を教えて」と頼むと、フォルダの中身を読んで概要を返してきます。旧Coworkが1月から持っていたフォルダ許可の機能を、普通の会話からも使えるようにした形です。

権限の「手動」は、Help Centerでいう2つの設定の片方です。

  • 手動(初期設定): 行動する前に確認を求め、許可するかを毎回選ぶ
  • 自動: 各ステップで止まらずに作業を続ける。行動前に自動の安全チェックが走る

設定は会話全体にかかり、途中で切り替えたり止めたりできます。メッセージの送信や重要なファイルの変更のように取り返しがつかない作業では、近くにいて確認してほしい、と公式も書いています。

細かい変更点も、旧Coworkを使っていた人ほど戸惑いやすいので挙げます。Coworkのタスクはチャットと同じ「最近の項目」に並びます。Web検索のオン・オフはなくなり、必要ならClaudeが勝手に検索します。深い調査は /deep-research と打つか、入力欄の「+」から「リサーチ」を選ぶ。Coworkにあった「グローバル指示」は、設定の「一般」にある「Claudeの指示」へ移りました。作ったファイルは会話の横に出て、デスクトップアプリではCoworkが保存していたフォルダもそのまま残ります。

一方で、いまはできないことも公式が列挙しています。GitHubからの追加、会話の途中からの分岐、シークレットチャットでのファイル作成やコード実行、古いCoworkタスクの検索。スマホからデスクトップに作業を送るDispatchは、新規の利用者には提供されません。

得るのは文脈の連続、失うのは「軽い質問はチャットで」という逃げ道

良くなる点は、公式の例がいちばん分かりやすいです。週次レポートを頼み、続けて「要点を5枚のスライドにして」と言うと、レポートもスライドも同じ文脈から出るので中身が食い違いにくい。移動中にスマホで進み具合を見て、席に着いたら文書とスライドが待っている。そのまま「毎週同じ曜日に」と予約すれば、頼まなくても始まる。文脈が途切れないことと、席を離れても続くことが、この統合で手に入るものです。

気をつける点は3つあると思います。

使用量。Help Centerは、Claudeでする作業はすべてプランの利用上限に数えられ、Webを検索しファイルを作る長い作業は簡単な質問より多く消費する、と明記しています。展開の途中は計測の仕方が少し違うことがある、とも。Coworkが出た1月の時点で、公式は「Coworkは複雑な仕事を扱うので、Proの利用者は上限に早く達するかもしれない」と書いていました。統合後も簡単な質問には短い答えが返る建前ですが、軽い質問のつもりで頼んだことをClaudeが「作業」と判断すれば、消費は作業の側になります。どれくらい増えるかは、使ってみないと分かりません。claude.ai・Claude Code・デスクトップアプリの利用は同じ上限に数えられるので、ProでClaude Codeの週次制限を使い切りがちな人は、設定の「使用状況」を見る癖が要ります。なお、画面のモデル名の横にある「最大」は労力の設定とみられ、公式は労力の設定も消費に影響すると書いています。

「自動」の扱い。手動では、ファイルを作る、Webを操作する、接続したアプリを動かすといった行動の前に確認が挟まります。自動にした会話では各ステップの確認を省いて進みます(安全チェックは自動で走り、必要な場面では確認が入ります)。楽になる分、どこまでを任せたかを自分が把握していないと、確認したつもりの作業が終わっています。

ある朝勝手に変わること。ProとMaxは個別の操作なしに順次切り替わり、戻せません。Enterpriseには30日以上前に連絡が来るとあり、他のプランについて事前の連絡の記載はありません。Xでも「同じ変更なのに、知らされ方がプランで違う」という指摘がありました。自分ひとりで使う分には慣れ直せば済む話ですが、社内向けの手順書や研修資料を作っている人は、画面写真が突然古くなります。

Claude Codeは残る 境界は「開発の作業か、それ以外か」

統合の対象はチャットとCoworkとDesignで、Claude Codeは含まれません。Help Centerには、モデルの選択と「Code」タブは元の場所にある、と一行あります。画面でも右上の </> からCodeに切り替えられます。

境界はどこか。ヒントは、新規停止になったDispatchの説明にあります。スマホから頼んだ仕事を、開発の作業ならClaude Codeで、知識労働ならCoworkで実行する、とClaudeが振り分ける設計でした。少なくとも製品の上では、開発の作業とそれ以外で実行する先を分けていたということです。統合後もCodeタブが残ったので、この区別は続いていると筆者は読んでいます。

ただし成果物の側は先に共通化されました。Krieger氏はDocs・Slides・Designを「改良されたArtifacts基盤」の上で動くものだと説明していて、Claude Docsの案内には、Claude Codeのセッションからも仕様書や手順書を文書として作れる、とあります。作業する場所(Codeタブと、統合されたチャット)は分かれたまま、できた文書やスライドの保存先と共有の仕組みが先に1つになった。これが現時点の形です。

この境界を踏まえると、開発中の人に便利な使い方が1つあります。ターミナルでClaude Codeを動かしたまま、デスクトップアプリの会話にプロジェクトフォルダを許可し、「このファイルは何をしているか」「この設定はどこで読まれるか」といった質問だけを投げる。私たちが試した範囲では、フォルダの中身を読んで答えが返ってきます。Claude Codeの会話を質問で汚さずに済むわけです。条件は3つ。デスクトップアプリであること、権限を「手動」のままにして「読むだけで編集しない」と前置きすること、そして両方が同じ利用上限を消費すると承知しておくこと。「読むだけ」は指示であって権限の設定ではないので、編集の許可を求められたら通さない、心配なら複製したフォルダで試す、が安全側です。ブラウザ版のClaudeにはフォルダの項目がないので、この使い方はできません。

Xでは「いずれClaude Codeも統合されそう」という予想も見かけますが、公式にそう書かれたものはありません。Claude Codeを作ったBoris Cherny氏は、Claude Codeが開発者に、Coworkが知識労働者に「任せて、できたものを受け取る」働き方を示した、方向性は取り組むすべてに文脈を運ぶ一つのClaudeだ、と書いています。方向は示されていて、時期は書かれていない、というのが正確なところです。

分けて作って、賢くなったら束ねる 他社にも同じ分け方がある

Coworkの8か月を振り返ると、統合は突然ではありません。1月13日(日本時間)にMaxプラン向けの研究プレビューとしてmacOSアプリで登場。1月末にプラグイン、2月にWindows版、3月にコンピュータ操作、7月に画面録画で仕事を覚えるRecord a skill、8月にClaude in ChromeのサイドパネルがCoworkのセッションになり、8月末に内蔵ブラウザ、9月頭にはコンピュータ操作が裏で動くようになりました。機能が集まるほど、チャットとの境目は薄くなっていました。

同じ形は他社にもあります。Microsoftは6月に一般提供したCopilot Coworkを、チャットとは別の入り口として出しました。OpenAIはChatGPTとChatGPT WorkとCodexが今も分かれていて、Xでは「OpenAIも早く一本化してほしい」「タブは新しいハンバーガーメニューだ」という声がありました。まず別の場所として作り、モデルが賢くなったら束ねる。この順序はAnthropicが自分で説明したもので、他の2社も同じ道をたどるかは筆者の予想にすぎませんが、この2社より先にAnthropicが2段目に進んだ、とは言えると思います。

Xの反応は肯定が目立ちます。「最初からこうあるべきだった」「使い分けが分からないと何度も聞かれた」という声が多く、少数ながら「迷わなくて済むけれど少し寂しい」「上限がどうなるか」という懸念も混ざります。

考察 製品名より「任せ方」を覚えたほうが長持ちする

ここまでが公式の発表と、私たちのアカウントで確かめたことです。ここから先は筆者の読みになります。

製品の名前は、もう覚える対象ではないと思います。Coworkは8か月で名前が消え、OpenAIのChatGPT agentは終了し、ブラウザのAtlasも廃止されました(9月7日の記事で追った流れです)。残るのは「何を任せるか」と「どこまで任せるか」の設計です。私たちは自社の記事制作をAIに任せていますが、手順書と権限の書き方はツールの名前が変わっても使い回せています。統合後のClaudeで「手動」と「自動」を選ぶのは、まさにその権限設計の話で、名前が消えた後に残ったのが設計の部分だった、と読んでいます。

だから使う側が考えることも、「どのモードか」から「どこまで任せるか」に移るでしょう。振り分けをClaudeがやるなら、人が決める中心は、何をどこまで任せ、どこで止めるかになります。この読みが当たっているかは、数か月後に「自動」が初期設定になるか、逆に上限の不満が増えて手動の説明が手厚くなるか、で分かると思います。

Claude Codeについては、当面残ると筆者は見ています。開発の仕事はターミナルやエディタの中で起きていて、チャットの会話に入れる理由が薄いからです。ただし成果物の共通化は進んでいるので、次に来るのは、CodeタブにもOutputの選択が入り、Slidesまで直接作れるようになる方向ではないでしょうか。目印は、Dispatchのように開発とそれ以外を自動で振り分ける機能が、新しい形で戻ってくるかどうかです。

さいごに 日本の利用者が今日できること

統合が自分の番に来たかは、メッセージ欄の上に「チャット」「Cowork」の切り替えが残っているかで分かります。残っていれば未適用で、これまでどおりCoworkに切り替えれば同じことができます。Help Centerには日本語版があり、「自動/手動」「最近の項目」「Claudeの指示」といった画面の日本語表記もそこで確認できます。今回の発表に、料金の変更は含まれていません。

すぐ試すなら、デスクトップアプリで仕事のフォルダを1つ許可し、権限を手動のままにして、資料の下書きを1本頼んでみてください。確認を求められる回数と、設定の「使用状況」の減り方を見れば、自分の使い方でどこまで任せられるかの感触がつかめます。Docs・Slidesの日本語の仕上がりは、私たちもこれから確かめます。

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