ChatGPT ProとBusinessに毎月最大500ドルのAPIクレジット Claudeとの違い

日本時間10月29日の朝、OpenAIの開発者向けアカウント @OpenAIDevs が、ChatGPTのProとBusinessの契約者に、毎月最大500ドルのAPIクレジットを付けると発表しました。ChatGPTの月額料金とは別に、自分でアプリやエージェントを作るときのAPIの利用料に使える残高がもらえる、という仕組みです。
実は、Anthropicも3週間前の10月8日に、ClaudeのMaxとTeamで同じ形の制度を始めています。チーム向けの金額と上限まで、両社でぴったり同じです。私たちもさっそくChatGPTのProで受け取ってみたところ、最初に入ったのは27ドルでした。満額の100ドルではなかったのには、理由があります。
もらえるのはProとBusiness、Plusは対象外
公式ヘルプによると、もらえる額は次のとおりです。
| プラン | 毎月のAPIクレジット |
|---|---|
| Pro(100ドルのプラン) | 100ドル |
| Pro(200ドルのプラン) | 200ドル |
| Pro(500ドルのプラン) | 500ドル |
| Business(Standardの席) | 1席20ドル |
| Business(Premiumの席) | 1席100ドル |
Businessは、全員分が1つの残高にまとまり、上限は月500ドルです。ヘルプの例では、Standard 5席とPremium 3席なら月400ドル、Standard 10席とPremium 4席なら計算上は600ドルですが、上限で500ドルになります。年払いのBusinessは、1年分(上限6,000ドル)がまとめて入ります。
対象にならないのは、Plus、Go、無料のプランと、無料トライアル中の人です。EnterpriseとEduも対象に含まれていません。また、対象のプランに入ってから7日以上たっていないと、申し込めません。
ProのクレジットがProの月額と同じ金額になっているのも、目を引くところです。Xでも、サブスク代と同じ額がAPIで戻ってくる、と歓迎する投稿が目立ちました。ただ、ChatGPTやCodexの使える量が増えるわけではありません。得になるかは、もともとAPIに払っている費用を、期限内にどれだけこのクレジットで置き換えられるかで決まります。APIを使っていない人にとっては、実質無料にはならないと思います。
最初の1回は日割り。当社は27ドルだった
受け取りは、ChatGPTの「設定」から「請求」を開き、APIクレジットの欄で手続きを始めます。Businessなら、ワークスペースの請求の設定か管理画面からです。OpenAIのAPIの管理画面(API Platform)の側から始めることもできます。どちらでも、クレジットを受け取るAPIの組織を1つ選んで、つなぐ形です。
当社はProの100ドルのプランで手続きしましたが、最初に入ったのは27ドルでした。ヘルプには、最初の付与は、その請求期間の残りに応じた日割りになると書かれています。請求期間の途中で申し込むと、満額にはなりません。2回目からは、ChatGPTの更新のたびに満額が自動で入り、毎回申し込み直す必要はありません。
- 同じ人がオーナーである必要がある: ChatGPTの契約の持ち主(Businessならワークスペースのオーナー)と、受け取るAPIの組織のオーナーが同じ人で、同じメールアドレスを使っている必要があります。管理者の権限だけでは足りません
- つなげる組織は1つだけ: 1つの契約につなげるAPIの組織は1つで、1つの組織も1つの契約としかつなげません。あとから変えるには、サポートに頼む必要があります
- APIを使ったことがなくてもよい: 個人のAPIの組織につなぐこともでき、支払い方法を登録していなくてもクレジットは使えます
使えるのはAPI。ChatGPTとCodexの利用枠は増えない
クレジットが使えるのは、つないだAPIの組織でのAPIの利用料です。ヘルプには、ResponsesやChat Completions、Agents、Decisions、GPT-LiveとRealtime、画像の生成、組み込みのツールなどが挙がっています。購入したAPIのクレジットより先に、こちらが使われます。
一方で、使えないものもはっきりしています。
- ChatGPTとCodexの利用枠は増えない: ChatGPTや、ChatGPTのアカウントでサインインして使うCodexの上限は、そのままです
- APIキーで動かすCodexにも使えない: Codexを、ChatGPTのアカウントではなくAPIキーで動かす使い方も、対象外とされています
- 繰り越せない: 使い残しは、その請求期間の終わりで消えます
残高がなくなると、購入したAPIのクレジットがあればそちらで続きます。API側で自動チャージを設定していれば、追加の購入が行われて続きます(これはAPI側の請求です)。どちらもなければ、APIの呼び出しはエラーで止まります。ChatGPTの契約に請求が上乗せされることはありません。
Claudeの同じ制度と比べると、チーム向けの金額は同じ。違うのは年払いとCLI
Anthropicの制度は、Claudeの公式ヘルプで確かめると、10月8日に書いた内容から大きくは変わっていませんでした。並べるとこうなります。
| OpenAI(ChatGPT) | Anthropic(Claude) | |
|---|---|---|
| 個人向けの対象と額 | Pro:100 / 200 / 500ドル | Max 5x:100ドル、Max 20x:200ドル |
| 対象外の主なプラン | Plus、Enterprise、Edu | Pro、Enterprise |
| チーム向け | Business:1席20ドル / 100ドル、上限500ドル | Team:1席20ドル / 100ドル、上限500ドル |
| 加入からの日数 | 7日以上 | 7日以上 |
| 最初の付与 | 請求期間の残りに応じた日割り | ヘルプに日割りの記載はない |
| 年払いのチーム | 1年分をまとめて付与(上限6,000ドル) | 毎月付与 |
| 手元のCLIで使えるか | APIキーで動かすCodexには使えない | リンクした組織のAPIキーで自分で動かす claude -p やAgent SDKには使える。対話型のClaude Codeや、GitHub Action・IDE拡張・デスクトップアプリから動かす場合は使えない |
| 繰り越し | なし | なし |
チーム向けは、1席あたりの額も上限も同じです。3週間遅れて始めたOpenAIが、Anthropicの形にそろえてきたように見えます。目に見える違いは、OpenAIには500ドルのプランがあること、年払いのチームでは1年分がまとめて入ること、そして手元のコマンドラインのツールでの扱いです。Claudeは、リンクした組織のAPIキーで自分で動かす claude -p ならクレジットで払えますが、CodexはAPIキーで動かしても対象外です。最初の付与の日割りは、OpenAIはヘルプに明記していて、Claudeのヘルプには記載がありません。
最後に、つなぐ組織と使い道を先に決める
ここから先は筆者の考えです。このクレジットで得をするのは、APIを使って自社のツールや仕組みを作っている、または作りたい会社だと思います。問い合わせの振り分け、書類の読み取り、社内向けの小さなエージェントの試作。短い処理を何度も試すなら、毎月100ドルでもかなりの回数になると思います。逆に、ChatGPTやCodexを画面から使っているだけなら、受け取っても使い道がなく、そのまま消えていきます。
受け取る前に決めておきたいのは2つです。1つは、どのAPIの組織につなぐか。あとから自分では変えられません。APIキーや使える人を分けたいだけなら、同じ組織の中でプロジェクトを分ければ足ります。組織を分けるのは、残高そのものを分けたいときです。もう1つは、使う人と上限です。つないだ組織では、APIキーを持つ全員が同じ残高から使います。利用額の上限は、通知だけの設定と、上限に達したら止める設定(Enforce a hard limit)が別なので、止めたいなら後者を有効にします。止まるまでに少し超えることはありますが、誰かの試作で1か月分が一晩で尽きる、という事態はかなり抑えられます。
ChatGPTとClaudeの両方を契約している会社なら、両方で受け取れば、毎月それぞれのAPIを試す予算が手に入ります。たとえば、同じ請求書を両社のAPIに読ませて、必要な項目の抜け、人が直す手間、1件あたりの費用を比べてみる。どちらで仕組みを作るかを、自分たちの書類で決められます。このクレジットのいちばん素直な使い方は、そこだと思います。