TALENTCLOUD

NEW新サービスのご案内:HTMLを社内外にセキュアに共有できる無料ツール「briefroom」をリリースしました

約7分で読めます

ChatGPTのdots、秘書役なら仕事に使える 経費精算と役所の書類を任せてみた

ChatGPT業務活用AIセキュリティ
寺師 岳見監修: 寺師 岳見(株式会社タレントクラウド 代表取締役)フォロー最新のAI情報を発信中
「面倒な仕事は任せる。判断は人がする。」というキャッチ。左の領収書や役所からの封書が、鍵の付いた専用フォルダを抱えるロボットへ集まり、「経費」「公的書類」に仕分けられた一覧を右の人が確認する流れを描いたインフォグラフィック。下段に「専用アカウント」「渡す情報を選ぶ」「最後は人が承認」の3ステップ

10月3日に、ChatGPTのdotsを仕事で使うのは今はおすすめしないと書きました。dotがChatGPTとメモリを共有すること、dotが覚えた内容を個別に消せないこと、会社として作業の記録を確かめる仕組みが弱いこと。この3つが重なるからです。

その3つの懸念は、いまも解消していません。それでも実際に使ってみて、考えを一部改めました。顧客情報や機密に触れない、秘書がいれば任せられるような仕事なら、条件をそろえたうえでdotに任せられる、ということです。面倒だけれど自分でやるしかなく、つい後回しにしてしまう仕事。いま私がdotに渡しているのは、経費精算、役所から届く書類の仕分け、それに顧客案件と関係のない調べものと問い合わせの3つです。

先に断っておくと、dotを使い始めてからまだ日が浅く、処理した件数は多くありません。それでも、後回しにしがちだった処理をdotが進めてくれるのは、正直かなり助かっています。

懸念は残ったまま。だから、dotに見せるものを絞る

まず、前回の懸念がどうなったか。OpenAIのChatGPTのリリースノートを見る限り、9月29日の提供開始から10月12日時点まで、dotsのメモリや記録まわりの仕組みを変えたという告知は出ていません。dotsのFAQのとおり、dotはいまもChatGPTのメモリを受け取り、dotとの会話がChatGPTのメモリに入ることもあります。dotが自分用に書きためるメモも、個別には消せません。

仕組みが変わらない以上、変えられるのは使い方のほうです。私がそろえている条件は4つです。

  • dot専用のGoogleアカウントを作り、そこで運用する。 私の仕事用のGmailやカレンダー、Slackはつないでいません
  • 専用アカウントには、渡す書類を入れるフォルダだけをGoogleドライブで共有する。 ほかのファイルは置かず、ほかのフォルダも共有していません
  • 顧客案件は渡さない。 Claude CodeやCodexで進めている顧客の案件(開発、マーケティング、制作など)のフォルダは、dotには共有していません。dotがやるのは社内の事務だけです
  • 渡す書類を自分で選ぶ。 顧客情報や機密が出てくる仕事は頼みません。マイナンバーが載る書類や、社員の個人情報が載る書類も渡さず、自分で処理します

1つ目と2つ目は、10月5日の記事「AIにGoogleアカウントを使わせる前に」で整理した「AI用のアカウントを分ける」構成を、実際にやった形です。注意したいのは、dotがフォルダの外を見られないのは、dotの機能で絞っているからではない、という点です。dotが扱えるのは、つないだアカウントがアクセスできる情報のうち、許可した範囲です(dotsのドキュメント)。専用アカウントに別のファイルを置いたり、Googleドライブで別のフォルダを共有したりすれば、dotから見える範囲もそのぶん広がります。

もう1つ、ChatGPTでつないだアプリの接続と権限は、dot、ChatGPT、ChatGPT Work、Codexの間で共有されます(先ほどのFAQ)。dot専用のアカウントをつなぐと、許可した範囲で、同じChatGPTアカウントのほかの機能からもそのアカウントを使えるということです。

経費精算は、Claude Codeから移した

経費精算は、もともとClaude Codeで仕組みを作っていました。領収書の写真やPDFをフォルダに入れて「今月の経費申請書を作って」と頼むと、AIが領収書を読み取り、一覧を見せて確認を求め、確認したらExcelの申請書に書き込んで、領収書をまとめて保管する、という流れです。

これをdotに移しました。いまは、領収書をGoogleドライブの共有フォルダに入れておくと、dotが読み取って申請書を作り、同じく共有しているフォルダに保存します。私がやるのは、読み取った内容を確かめて承認することだけです。

移して変わったのは、仕事ごとにセッションを分ける必要がなくなったことでした。Claude Codeでは、経費精算をするたびに作業用のフォルダでセッションを開き、そこで頼んでいました。dotは1人の担当者が続けて仕事を抱えている形なので、経費のことも、ほかの頼みごとも、同じ相手に話せば済みます。頼む場所を毎回用意しなくていい、というのは、後回しにしがちな事務にとっては小さくない違いだと思います。

役所から届く書類は、写真を撮って仕分けを任せる

もう1つは、税務署や年金事務所、市区町村から会社に届く書類です。届くたびに中身を読んで、何の書類で、何をいつまでにしなければいけないのかを確かめる。急ぎでないものほど、つい後回しになります。

いまは、届いた書類を写真に撮って、Googleドライブの共有フォルダに入れています。dotはそれを読んで、何の書類か、期限はいつか、何をすればいいかを要約し、対応の担当や種類ごとに振り分けます。返送や提出が要るものは、書き方の下書きまで作ります。私は、その一覧を見て判断します。

ここでも、写真を撮る前に「これは渡してよい書類か」を自分で選んでいます。マイナンバーが載る書類や、社員の個人情報が出てくる書類は渡しません。その一手間は残りますが、後回しにしがちだった書類の対応をdotが進めてくれるのは助かっています。

調べものと問い合わせは、dotのコンピューターで進めて、送信は自分で

3つ目は、顧客案件と関係のない調べものと、問い合わせです。制度や手続きを調べる、問い合わせ先を探して、問い合わせの文面を用意する。これも、急ぎでなければ後回しになりがちな仕事です。

dotには、クラウド上に自分用のコンピューターとブラウザがあります(dotsのドキュメント)。調べものや問い合わせの準備は、このコンピューターの中でdotが進めます。問い合わせフォームへの入力まで進めたら、最後の送信は私がします。dotのコンピューターは、画面を開いて「Take over」を選ぶと、マウスとキーボードを自分で操作できるようになり、終わったら「Return control」でdotに戻せます。入力された内容を自分の目で確かめてから、送信ボタンを押すのは自分、という分担です。

社外に出ていくものは、最後に必ず人の手を通す。経費の承認と同じ考え方を、問い合わせにも当てはめている形です。

任せる仕事を選ぶ基準は「残っても困らないか」と「人が確かめられるか」

dotに渡す仕事を選ぶとき、私が見ているのは次の2つです。

1つは、渡した情報があちこちに残っても困らないかです。dotに渡した情報は、ChatGPTのメモリに入ることがあり、dot自身のメモにも残りえます。dotが作ったファイルや会話は、dotを削除しても別に残ります。個人のProなら、「すべての人のためにモデルを改善する」の設定によっては学習に使われることもあります(オフにできます)。そうした場所に残っても困らない情報だけを渡す、というのが出発点です。

ここで気をつけたいのは、「顧客の情報でも社員の情報でもない」ことが「個人情報が載っていない」ことを意味しない点です。領収書には店の担当者名が、役所の書類には代表者の氏名や会社の住所が載っていることがあります。私は、マイナンバーと社員の個人情報、顧客の情報を外したうえで、残りは「会社の事務の情報として、残っても困らない」と判断して渡しています。どこまでを渡すかは、会社ごとに書類を見て決めることだと思います。

もう1つは、最後に人が元の書類と照らし合わせて確かめられるかです。経費の申請書も、役所の書類の対応も、問い合わせも、dotが進めるのは下書きと入力までで、出すかどうかを決めるのは私です。承認の前に確かめる場があれば、dotの読み違いを直す機会を作れます。ただ、確かめる場があるだけで見落としがなくなるわけではないので、金額や期限、提出先のような間違えると困る項目は、元の書類で確かめる必要があります。

最後に 判断を一部改める。条件は、見せる範囲を自分で決めること

前回は、業務での利用は全般におすすめしない、と書きました。今回、その判断を一部改めます。本文で書いた条件がそろう仕事なら、dotは秘書役として使える、というのが使ってみての結論です。大事なのは、dotに見せる範囲を、アカウントと、Googleドライブで共有するフォルダの単位で自分で決めることです。メモリの共有や、dotのメモを個別に消せないという懸念はそのままなので、仕事のメール、カレンダー、Slackをつなぐ使い方は、いまもおすすめしません。

試すなら、専用のアカウントを用意し、渡す書類から顧客や社員の情報を外せて、出てきた結果を元の書類と照らし合わせられる仕事から始めるのがよいと思います。私の場合は、それが経費精算でした。もう1つ気にしておきたいのは費用です。dotsの利用は、提供開始から1か月はプランの利用枠に数えないとされていますが、その後の条件は、10月12日時点でまだ公表されていません(リリースノート)。毎月決まって発生する仕事を任せるなら、条件が出た時点で、かかる費用と浮く手間を比べ直すのがよさそうです。

関連性の高い記事