LLMO・AIO・GEOとは Googleの公式見解と、効果の測り方

「これからはLLMO対策が必要です」という営業を受けた方は、そろそろ出てきているのではないでしょうか。
AI検索向けの新しい最適化が要る、という話です。言葉だけを聞くと、SEOとは別に何か特別な作業があるように聞こえます。
Googleは、生成AI検索向けの最適化は「SEOの範疇にある」と公式に述べています。 そのうえで、よく売られている手法のいくつかについて、AI検索のためにやる必要はないと名指しで書いています。
判断に必要な材料は、実はほとんど公式に出そろっています。
LLMO、AIO、GEO、AEO 何がどう違うのか
似た略語がいくつも流通していて、しかも指しているものが微妙にずれています。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| SEO | Search Engine Optimization。検索エンジン最適化。従来からある言葉 |
| GEO | Generative Engine Optimization。生成エンジン最適化。2023年の論文が初出 |
| AEO | Answer Engine Optimization。回答エンジン最適化 |
| LLMO | Large Language Model Optimization。大規模言語モデル最適化 |
| AIO | AI Optimization。AI最適化。AI Overviews Optimization の略として使う人もいる |
判断材料になることが1つあります。今回参照したGoogle検索セントラルのガイドに出てくるのは、AEO と GEO の2つだけでした。 LLMO と AIO は使われていません。日本語圏でよく聞くこの2語は、少なくともGoogleがそこで定義した言葉ではない、ということになります。
GEOだけは出どころがはっきりしています。2023年11月に投稿された論文が初出で、翌年のACM SIGKDDの国際会議に採録されています。研究チームは生成エンジン向けのベンチマークを自作し、9種類の書き換えを試して可視性の変化を測りました。効果が大きかったのは、統計を加える、信頼できる引用を入れる、出典を明記する、といった手です。逆にキーワードの詰め込みは効かなかったと報告されています。
数字の読み方には注意が要ります。要旨にある「最大40%」は、自作したベンチマークで、特定の指標を使ったときの最大値です。同じ論文は実在サービスのPerplexityでも試しています。ただしこちらも、用意した文書をファイルとして読み込ませ、その文書だけから回答させる形の実験です。Perplexityがふだんウェブを検索して引用する状況を再現したものではありません。
そして、Google検索の生成AI機能は、最適化の対象として実験されていません。 論文の中でGoogle検索は、資料を集める手段として使われているだけです。「GEOには研究の裏付けがある」と言われたら、どの実験のどの指標の話なのかを確かめてください。少なくとも、Googleの本番で再現された結果ではありません。
そして、論文が効果ありとした中身を見ると、統計・引用・出典です。良いコンテンツの条件として、SEOの文脈でずっと言われてきたことと重なります。
Googleは「SEOの範疇」と明言し、やらなくていいことを名指しした
Googleが公開している生成AI検索向けの最適化ガイドには、こう書かれています。
Google 検索の観点から見ると、生成 AI 検索向けに最適化することは検索エクスペリエンス向けに最適化することであり、SEO の範疇にあります
理由も説明されています。AIによる概要やAIモードは、Google検索のコアとなるランキングと品質のシステムに根差しているから、というものです。別系統の何かではなく、同じ土台の上に乗っている、と。
そのうえで、同じページには「生成AI検索の誤解を解く: する必要のないこと」という章があります。生成AI検索のために、わざわざやる必要はないものとして挙がっているのは、次の5つです。
- llms.txt などの「特別な」ファイルやマークアップ。 Google検索に表示されるために機械可読なファイルを新たに作る必要はない、Google検索自体がそれらを使わないから、と書かれています
- コンテンツの「チャンク化」。 AIが理解しやすいように細かく分割する必要はない。ただし読み手やテーマによって短いページが向くこともあり、理想的な長さというものはない、とも書かれています
- AIシステム向けの書き換え。 検索語句のバリエーションを網羅するために、AI向けの書き方をする必要はない
- 不自然な言及集め。 英語の原文は「非真正な(inauthentic)言及を追い求めること」で、正当な掲載や評判の確認まで否定しているわけではありません
- 構造化データへの過度な注力。 生成AI検索に構造化データは必須ではない。ただしリッチリザルトの対象になるため、SEO全体では引き続き推奨されています
ここを取り違えないでほしいのですが、この5つは「効かない」と言われているわけではありません。 生成AI検索のために追加でやる必要がない、という話です。読みやすい構成も構造化データも、通常のSEOとしては引き続き有効です。
AEO と GEO についても、名指しで触れています。
提案されている「ハック」の多くは効果がなく、Google 検索の実際の仕組みによってもサポートされていません
llms.txt については、補足があります。Googleは無視するけれど、他のサービスやシステムのために置いておくのは問題ないとも書かれています。そのファイルを読むように作られたシステムに対してなら使えます。用途が違うだけで、無意味なファイルというわけではありません。Google検索対策として売られたときだけ、話が合わなくなります。
効果を測る手段が、そもそも限られている
では、対策の前後で何を見れば効果が分かるのか。実際に測れるものは、かなり限られています。
Search Consoleには生成AIパフォーマンスレポートがあります。対象はAIによる概要とAIモード。ただし、取れるのはインプレッション数だけです。
クリック数はありません。CTRもありません。掲載順位もありません。 ディメンションもページ、国、日付、デバイスの4つで、通常のパフォーマンスレポートにあるクエリ別の内訳は出ません。段階的に提供されているので、そもそもレポートが表示されないプロパティもあります。
つまり、Googleが定義して提供している「順位」は存在しません。 「LLMOで順位を上げます」と言われたら、その順位が何を指すのかを聞く必要があります。独自に定義した指標なら、どんな質問文で、何回測って、どれくらいばらつくのか。そこまで示されないと、上がったかどうかを後から確かめられません。
そしてもうひとつ。Search ConsoleとGA4は、AIを逆向きに切り分けています。
Search Console の生成AIレポート
| どこからの表示か | 扱い |
|---|---|
| GoogleのAI概要・AIモード | 対象。インプレッション数のみ |
| ChatGPT・Gemini・Copilot など | 対象外 |
GA4 のチャネル分類
| どこからの流入か | 扱い |
|---|---|
| GoogleのAI概要・AIモード | 「オーガニック検索」に混ざる |
| ChatGPT・Gemini・Copilot など | 「AIアシスタント」チャネル |
GA4の公式ヘルプには、チャネルの定義がこう書かれています。「AIアシスタント」はChatGPT、Gemini、Deepseek、Copilot、Grokなどからの流入で、GoogleのAI概要とAIモードは除外。一方「オーガニック検索」には、GoogleのAI概要とAIモードも含まれる。
これが意味するのは、GoogleのAI経由で来たクリックは、GA4の標準のチャネル分類では通常の検索流入と分けられないということです。Search Consoleでは表示回数だけが見え、GA4では通常の検索に混ざる。逆にChatGPT経由はGA4で見えるけれど、Search Consoleには出ません。
「AI経由の流入が何%増えました」という報告を受け取ったら、その数字がどちらの話なのかを聞いてみてください。 標準のレポートだけで、両方を足した正確な数字を作るのは難しいはずです。
Google以外、たとえばChatGPTやClaudeに対する施策については、私たちも効果を検証する手段を持っていません。 Googleのような包括的な最適化ガイドは公開されておらず、表示回数やクエリ別のデータも手に入りません。
だから「LLMO対策は効きません」とは書きません。検証する手段がないものについて効かないと断じるのは、効きますと売るのと同じ構造だからです。 どちらも確かめずに言っている点では変わりません。書けるのはこの2つです。Googleが「やる必要はない」と名指ししたものは、Google検索については公式にそう言われている。それ以外については、私たちの手元に確かめる材料がない。 効果がないという意味ではなく、判断がつかないという意味です。歯切れは悪いですが、ここは正直でいたいところです。
似たことは広告運用でも経験しました。媒体が出してくる成果の数字と、私たちの台帳で数えた実際の流入が食い違っていて、成果が出ていないと判断して止めた広告が、実は最初の問い合わせの発生元でした(その顛末は別の記事に書きました)。数字が出てくること自体は、その数字が知りたいことを表している保証になりません。 指標が整っていない領域では、なおさら確かめる必要があります。
売り物ではないところに、決めるべきことがある
ここまでは「買う側」の話でした。一方で、自分で決められて、しかも公式資料で挙動を確認できる設定があります。あまり話題になりませんが、順番としてはこちらが先に来ます。
AIにサイトを使わせるかどうかは、1つのスイッチではありません。用途ごとに分かれています。
OpenAIは4種類のユーザーエージェントを公表しています。そのうち OAI-SearchBot がChatGPTの検索結果にサイトを出すためのもの、GPTBot が生成AIモデルの学習用です。設定は互いに独立しています。公式にはこう書かれています。
Sites that are opted out of OAI-SearchBot will not be shown in ChatGPT search answers, though can still appear as navigational links.
(OAI-SearchBotをオプトアウトしたサイトは、ChatGPTの検索の回答には表示されません。ただしナビゲーション用のリンクとしては出ることがあります)
つまり、学習に使われたくないという理由でまとめて拒否していると、ChatGPTの検索の回答からも引用されなくなります。 引用されない理由が、コンテンツの書き方ではなく自社のrobots.txtにある、という状態はあり得ます。学習と検索表示は別の判断なので、分けて決められます。
Cloudflareは、この意思表示を整理する仕組みを出しています。Content Signals Policyといって、robots.txtに用途別の可否を書けるようにしたものです。
| シグナル | 何を指すか |
|---|---|
search | 検索インデックスの構築と、リンクや短い抜粋の表示。AI要約は含まない |
ai-input | RAGやグラウンディングなど、リアルタイム生成への入力 |
ai-train | AIモデルの学習・ファインチューニング |
Content-Signal: search=yes, ai-train=no のように書き、書かなかった項目は意思表示なしという扱いになります。
そしてCloudflareは、robots.txtを代理で提供している既存の利用者に対して、この記述を自動で追加しました。 内容は search=yes, ai-train=no で、ai-input は顧客の意向を勝手に決めたくないという理由で意図的に外されています。
つまり、自社のrobots.txtに、自分が書いた覚えのない意思表示が入っている可能性があります。 確認は数分で済みます。自社ドメインの末尾に /robots.txt を付けて、ブラウザで開くだけです。
ただし、Cloudflare自身が但し書きを付けています。
content signals express preferences; they are not technical countermeasures against scraping (コンテンツシグナルは意思表示であって、スクレイピングに対する技術的な対抗手段ではない)
一部の企業は無視するかもしれない、とも書かれています。技術的にアクセスを止める仕組みではないということです。ここは期待しすぎないほうがいいところです。
それでも、AIに対して自社サイトをどう扱わせたいかを決めるのは、外注できない経営判断だと考えています。学習には使わせたくないが検索の回答には出てほしいのか。どちらも構わないのか。この判断を誰もしていないまま、対策費用の見積もりだけが来ているとしたら、順番が逆です。
提案書に、公式の物差しを当てる
Googleは、第三者のSEOツールやアドバイスをどう評価するかについてもガイダンスを出しています。AI検索向けのサービスを検討するときにも、そのまま使えます。
- Googleに承認されているという主張に注意。 Googleは第三者サービスを評価しないので、そうした主張には警戒するように、と書かれています
- サードパーティのツールはGoogleの内部ランキングデータにアクセスできない。 したがってパフォーマンスを保証することはできません
- ツールが出すスコアをGoogleのものと取り違えない。 第三者が提供するデータを、Google由来のものだと誤解する利用者がいる、と指摘されています
- サービスやツールを使ったからといって、ランキングの成功が保証されるわけではない
判断の物差しとして分かりやすいのは、Googleが挙げているこの基準だと思います。データや経験に基づく見解を示しているか、あるいは公式のGoogleのガイダンスを引用して主張を裏付けているか。 提案書を受け取ったら、そこを見てください。
かつてSEOやMEOでも、似た状況がありました。仕組みが分かりにくい領域では、根拠を示さない断言が通りやすくなります。いまのAI検索は、Google以外について検証手段が公開されていない部分が広い。 確かめにくさという点では、当時と変わらないか、それ以上です。
支援を受けること自体を否定する話ではありません。根拠を示して伴走してくれる事業者もいます。見るべきなのは肩書きではなく、提案の中に評価指標の定義と、それをどう測るかが書かれているかです。何を成果とするか、それをどう確認するかを、契約の前に文章で決めておく。 それだけで、かなりの部分は防げます。
さいごに 対策の前に、見る数字を決める
生成AI検索向けの最適化は、Googleの公式見解ではSEOの範疇にある。llms.txtやチャンク化など、AI検索のためにやる必要はないと名指しされた手法がある。効果を測る指標は限られていて、Googleが定義する順位というものは用意されていない。GoogleのAI経由の流入は、GA4の標準のチャネル分類では通常の検索と分けられない。
そのうえで、自分で決められることが2つあります。どのクローラーに何を許可するかと、何をもって効果とするかです。
取りかかるなら、この順番になります。
- 自社の
robots.txtを開いて読む。 覚えのない記述が入っていないか。AI関連のユーザーエージェントを意図せず全部塞いでいないか。書き換えるならサイトの管理担当と相談してください。 学習用と検索表示用は別々に判断できます - Search Consoleに生成AIパフォーマンスレポートが出ているか確認する。 出ていれば、いまの表示回数を記録しておく
- GA4で「AIアシスタント」チャネルの数字を見る。 ChatGPTなどからの流入が実際にどれくらいあるか
- 着手前の状態として、robots.txtの設定と、上の2つの数値を控えておく
4番目が肝心です。着手前の数字がない状態で、着手後の数字だけを見せられても、効果は判断できません。
ただし、前後の差がそのまま施策の効果とも限りません。季節による変動もあれば、Google側の更新も、自社で並行して出した記事の影響もあります。比べる期間、比べる対象、どこまでを自然な変動とみなすか。そこまで含めて、始める前に決めておく必要があります。
新しい言葉が出てきたとき、まず疑うべきは言葉ではなく、その言葉で何が測れるようになったのかのほうだと思います。測れるものが増えていないなら、変わったのは売り方だけかもしれません。